ガラパゴス諸島旅行記⑤ ~サンタクルス島3日目~

 

ガラパゴス諸島旅行記です。

 

サンタクルス島3日目。

ガラパゴスに来て、ここまでひとつの島にのんびり滞在する旅のスタイルは珍しいかもしれません。ほとんどの人は、サンタクルス島から他の島に行ける1Dayツアーに参加しているようです。

私は旅先でも朝からゆっくり起きて、ひとつの町に何日か滞在するのが好きなので、今回もサンタクルス島で存分にまったりしていました。笑

Doing nothing ――何もしないをする。くまのプーさんの有名な言葉にもありますが、日々仕事ややることに追われる現代人にとっては、ぼーっとすることほどぜいたくなことは無いかもしれません。

ところかまわずDoing Nothingのアシカさん。

 

この日は、ダーウィン研究所へ!ホテルから徒歩20分ほどの距離にあります。

そして、またしても魚市場の前を通過。サンタクルス島に着いてから、毎日魚市場に通っています笑

本当に見飽きない光景なのです。

お気に入りの一枚

魚市場の方たちは、前後左右から、アシカとペリカンたちからのプレッシャーを受けて大変そうです。お金を払わない厄介なお客さんたちですが、とてもかわいいです。

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ガラパゴス諸島と言えば、「進化論」のダーウィンを真っ先に思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。私も今回の旅行前に、ダーウィンの名著種の起源を読んで予習してきました。

ダーウィンは、今から200年近く前、1835年にガラパゴス諸島に上陸しました。ウミイグアナとリクイグアナの違い、島々によって微妙に異なるゾウガメや小型の鳥類(フィンチ等)の特徴を観察することで、一つ一つの種が環境に応じて適応変化していく、ひいては種の分化につながっていく「自然選択説自然淘汰説)」を確立する手がかりを得ました。

実際に「種の起源」を読むと、ガラパゴス諸島から着想を得たというよりは、ガラパゴス諸島を含め多種多様な動植物の観察や研究を通じ、何十年もの長い時間をかけて自然選択説を確かなものとしていった、という経緯のようです。家畜やハトなどの身近な生きものからも多くのヒントを得ていたようですが、中でもガラパゴス諸島の、島々の環境によって微妙に異なる種の多様さには、ダーウィンも度肝を抜かれたのではないかと。200年前の時代に思いを巡らせてしまいます。

今でこそ、「ヒトはサルの親戚、ヒトも動物の一種」というのは誰もが知っていることですが、当時の西洋では「人間は神が創った特別な生きもの」というキリスト教的思想が当たり前でした。

そのような中、進化論を発表するためには、ち密な研究だけでなく、関係者への根回しなど地道な努力も背景にあったようです。

ヒトとは何か。文字どおり人生をかけて「現代の当たり前」を打ち立てたダーウィンが、ここに生きる生きものたちを見て、どんなことに感動して、何を思ったんだろう・・・という気持ちでガラパゴスを巡ってみると、なんだか壮大な気分になります。笑

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前置きが長くなってしまいました。

ダーウィン研究所は、ちょっと入り口が分かりづらいのですが、入り口付近にチャールズ・ダーウィン銅像が目印で建っていました。(写真撮り忘れ)

銅像を通り過ぎ、小道を進むと、ダーウィン研究所の案内スタッフの方たちが立っていました。スタッフの方たちによると、「この先は2本の道に分かれていて、ひとつはダーウィン研究所への近道。もうひとつは、遠回りだけど、ナチュラル・ガイドの説明を受けながら自然を楽しめる道になっています。どちらを選んでもOK。」とのこと。

まったり旅なので、遠回りを選びました。

他に2~3組の観光客とナチュラル・ガイド1名、合計10人程の組となって、緑の茂る道を歩いていきます。

島ごとに特徴の異なるサボテンの話を聞いたり、周囲に生える植物の説明をしてもらったり。

一番面白かったのは、小さな小さなトマトを食べたこと!

これ、野生のトマトです。小指の爪くらいの大きさしかありません!

その辺の茂みに実っていたものを、自分で取って食べさせてもらうことができました。

そういえば、トマトの原産地ってアンデス山地ですから、海を隔てているとは言え、野生のトマトがガラパゴスにあることも不思議ではないかも。

少し酸っぱめですが、とても美味しかったです!ゾウガメも野生のトマトが好きらしいです。

 

さて、遠回りを経てダーウィン研究所に着くと、さっそくゾウガメがたくさん!!!

小さいカメたちが一緒に食べている姿がかわいい。

動物園みたいに、スペースが区切られています。ゾウガメの年齢ごとに固めていて、このブースは1歳以下、このブースは5歳以下、みたいな感じで分かれているのだそうです。

そして、研究所である程度大きく育ったカメたちは、島にある保護区に運ばれ、野生の環境で生きていきます。卵や子ガメのまま自然界に放つと、外来種のネズミに食べられてしまうのだと、ナチュラル・ガイドさんは深刻な表情で語っていました。

大きいカメは一人で食べています。

しかし、どのカメもみんな、一心不乱に同じ植物を食べています。茎まで食べてえらい。

ナチュラル・ガイドさんに「この植物は何ですか?」と聞くと、「Elephant ear plant」だと教えてもらいました。後で意味を調べてみると、サトイモタロイモ類の葉っぱだそうです。

 

屋外のゾウガメたちをひとしきり観察させてもらった後は、屋内へ。何の説明もなく密室に入ると、そこには、かの有名なロンサム・ジョージが!!!

ピンタゾウガメのロンサム・ジョージ(特別なケージで保管されています)

ジョージは、ピンタゾウガメの最後の一匹。その孤独な状況から、独りぼっちのジョージ、ロンサム・ジョージと呼ばれました。

2012年、推定100歳以上生きたジョージはこの世を去り、ピンタゾウガメは地球から絶滅してしまいました。

ガラパゴスゾウガメは、もともと15の亜種が存在したとされていますが、ピンタゾウガメを含む4亜種が絶滅し、今では11亜種が残っているそうです。残っている11亜種も、すべて絶滅危惧種に指定されています。

人間がガラパゴス諸島に上陸し、ゾウガメを食料にしたり、甲羅を加工して使ったり、不適切にペットとして扱ったりするうちに、どんどんゾウガメは個体数を減らしてしまいました。

現在では、野生生物保護の考えが広まり、ゾウガメも保護区という環境でのびのびと生きていけるようになりましたが、未だに密猟の危険に晒されています。

絶滅してしまった種の最後の一匹を眺め、「人間は罪深いなぁ…」と深々考えます。

なんだかしんみりしてしまいましたが、現在、ダーウィン研究所をはじめ、ゾウガメが大切に保護されているのは本当にすばらしいことです!!様々な人の努力によって保護活動が成り立っているのだと思います。

ぜひ寄付したかったのですが、寄付箱のようなものは不思議と見当たらず、この場では寄付できませんでした。

www.darwinfoundation.org

後で調べたところ、スタッフの方にお声がけすれば寄付できたようです!また、口座振り込みも可能ですが、日本からだとちょっとハードル高いですね。

 

ダーウィン肖像画

研究所の展示エリアの雰囲気は、こんな感じでした。ガラパゴス諸島の動植物や、その保全活動についてパネルがならび、標本や模型が展示されています。お土産もちょこっとだけ売っていました。

 

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ダーウィン研究所を後にして、帰り道途中にあったチョコレート屋さんへ行きました。その場でチョコレートが作られていて、アイスクリームも屋外で売っていました。アイスクリーム、買おうかと思ったのですが、なぜかチョコレート味は売っていなかったので、やめておきました笑

カメの形のチョコレートをお土産に一つ買って帰りました。

エクアドルはチョコレートが有名です。オーガニック・チョコレートが結構な高額で売っていますが、甘さ控えめで美味しいです!

お店のFacebookを見つけたので、リンクを貼っておきます。

https://www.facebook.com/chocolapagos/

 

ランチはスペイン料理屋にて。パエリヤと、タコとジャガイモのサラダをいただきました。パエリヤは水分水分多めでしたが、サラダは美味しい!ボリューム満点です。

夕方はお土産屋をぶらぶらしながらジェラートを食べました。ヘーゼルナッツ入りで美味しい。

晩ごはんは三度目の屋台!毎日通っています笑

シーフードパスタと、エクアドル名物のセビーチェ。セビーチェは、エビ、イカ、タコなどの海鮮を、レモン汁やハーブで和えたマリネです。初めて食べました。結構すっぱく、もう少し酸味控えでも良いかな?魚介類がとても贅沢に使われているのは高評価。

 

以上、サンタクルス島の最終日でした!

 

(つづく)